感覚的音楽理論入門 楽典「実際の音で学ぶ 音価とテンポ・フェルマータ」
以前に音価についての記事を書きました。今回は、音価の追記、そして楽語の中でも誤解が多いと思われるフェルマータについて記します。

入試の楽典や学校のテストで出題の多い、L’istesso tempoのメトロノーム記号による速度表記について例をあげて説明します。
L’istesso tempoとメトロノーム記号
例題1

上の楽譜、3小節目の速度表記について、数字で答えてください。(付点8分音符=数字です。)
3小節目、リステッソテンポをメトロノーム記号で表します。速度表示の基本となる音価は以下のようになります。付点8分(3小節目)=付点4分(2小節目)

2小節目のテンポは4分音符ならば1小節目と同様(120)です。しかし音価を付点四分音符にする必要があります。(3小節目の速度表記が問われているためです。)

付点四分音符とは四分音符の1.5倍の長さです。ですから120を1.5で割り算することによって速度を出すことができます。
もう一つの方法・・2小節目の♪=240です。付点4分音符は8分音符の3倍の長さですので、240を3で割ります。こちらの方が簡単かもしれませんね。
答え (右端のをクリック)
80
みなさんは小数点のついた割り算の方法を覚えておられますか?バカにするなと叱られそうですが、念のために書いておきます。電卓がない場所で役立つかもしれません。

例題2

同じような問題で退屈かもしれませんが、知識確認のために解いてみてください。
答え (右端のをクリック)
64
例題1と同じようにやってみましょう。
2小節目 ♩=96
3小節目 ♪=192
4小節目 リステッソテンポ 下記の速度表記となりますので、

192÷3=64 もしくは 96÷1.5=64 となります。
宮之島しろ先生思ったより簡単だったでしょう。小数点の計算を忘れてしまった方は、復習してくださいね。試験だけではなく、普段の生活にも役立ちますよ。.



計算の方法がわかりやすかったです。わたしは算数は大の苦手だったから、計算は全部電卓のお世話になってたんだけど・・音楽のお勉強を通して、小数点の割り算についてクリアできてよかったです。
フェルマータ
fermata(イタリア語)は停止という意味です。音楽記号としてのfermataも「終わる」とか「中断する」といった意味で使用されます。
大昔の義務教育の音楽授業では、その音を伸ばすと、教わった記憶があります。わたしの義務教育時代は55〜60年ほど前、今とは全くカリキュラムも変わっているゆえ、若い方々には当てはまらないかもしれませんが・・
現代の音楽の授業では、譜読みは重視されていない(楽譜をみるのではなく、耳で聞いて覚えることが主流だとか?音楽を楽しむことが中心でもあると伺いました。)ので楽語や音楽記号についても授業では全く触れられていないかもしれません。
そのため、義務教育の音楽の試験については触れないことにします。入試準備や音楽愛好家の方々の向けて、fermataの意味をいくつかあげたいと思います。
拍を止める
楽典の書籍には臨時に拍の進行を停止させて、fermataのついた音や休符の時間を延長させると、書かれています。
拍を止めれば結果的に音や休符が伸びることにはなりますが、fermataの意味は音を伸ばすことではないと覚えましょう。特に学校の音楽の時間に習ったことを鵜呑みにしている方、白紙に戻してください。
下記楽譜は、ベートーベンのピアノソナタ1番、1楽章の1テーマ 最後の部分です。fermataで拍を止めて、展開部分に入っていきます。このfermataは休符を呼吸に置き換えると、習いました。(60年ほど前のピアノのレッスンで)いかにこの部分に合った、深い呼吸をするか?が大切なのです。
何倍分とか、秒数でどのくらいなどと、決めつけられません。長すぎても短すぎても合わず、次のアウフタクトからインテンポに戻っていくことも考えなければなりません。


カデンツァを表す
モーツアルトのピアノコンツェルト21番1楽章のカデンツァの楽譜は次のように書かれています。オーケストラが止まる部分にfermata、ピアノの即興演奏の部分にはトリルの上にfermataが書かれています。


カデンツァは即興演奏を意味しますので思うがままに弾いて良いのですが、お行儀よくまとまった演奏が多いように思っていました。
しかしそうでないものもありました。下記動画は、ブゾーニの書いたカデンツァです。最初は普通に展開しておりますが、途中から調性も流動的になり、どうなっていくのか予想できない面白さがあります。ピアニストはフィッシャー女史。思ったことをはっきり主張できる方だったようでして、ブゾーニの書いたソロがお気に入りだったのでしょうね。
わたしはとても気に入っています。一度下記の演奏をお聴きになってください。カデンツァのところから始まるようにしてあります。
終わりの意味


上の楽譜は、バッハのインヴェンション6番の最後の部分です。小節線の上にfermataがのっていますね?この場合はリタルダンドを極端にかけないこと、加えて余韻を聴くという意味もあります。(約60年前、ピアノのレッスンで教わった知識です。)


上例は、fermata=Fineの意味です。ダ・カーポで最初に戻り、2小節目で終わることを意味します。曲の途中で終わらせたい場合は、Fine fermataのどちらかを使いましょう。
息継ぎの意味


上はコラールの楽譜です。fermataの記号があちこちにありますが、これは息継ぎの意味です。歌詞の行(段落)の終わりにfermataが置かれています。
入試は、これら4つを押さえておけば良いでしょう。
楽典記事は次回の和音で終了予定です。過去にも少し記事にしていますが、転回形、終止形、カデンツなどについては、ほんの少ししか触れてきませんでした。これらを1本の線にしてつなぎあわせ、和声の勉強の前段階とします。
デジタルパフォーマーやDoricoの備忘録、予定よりだいぶ間が空いてしまいました。次回の投稿になりますのでお待ちくださいませ。

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