感覚的音楽理論入門 楽典「実際の音で学ぶ 拍子の変化 (音価)」

例えば、2/4→6/8に拍子が変わった場合の1拍の長さ(音価)をどのようにとらえるか、どのような表記をするか、ご存知でしょうか?よく理解されている方もおられる反面、独習されている方にとっては「壁」と感じられているかもしれませんね。

また、独習ではなくレッスンを受けておられても、知識が曖昧である方、一定数おられると思います。ここでは曖昧な知識を確実なものにするためのアドバイスをいたします。

ちなみに、楽典の課題や入試問題でも、拍子の変化に伴う音価の捉え方は、手を替え品を替え出題されています。試験を通じて、しっかり勉強しましょう。音楽を続けるなら一生役立つことです。

宮之島しろ先生

音価の理解には基本が大切。基本のキにも触れますよ。

目次

単純拍子 複合拍子 混合拍子

拍子の種類にはこの3つがあります。すごく簡単でお子さんでも知ってるようなことを、わざわざと思われるかもしれませんが、これを知らないとつまづくこともあります。

単純拍子とは?

2拍子、3拍子、4拍子のことです。下記表をごらんください。

 拍子の種類音価(1拍の音符)拍子の基本形
2拍子2/2  
2/4  
2/8  
3拍子3/2
3/4  
3/8  
4拍子4/4
4/8

複合拍子とは?

1拍が3個の音符からなる2・3・4拍子のことを指します。たとえば6/8拍子、9/8拍子、12/8拍子など。6/8拍子はみなさんが初めて楽器を習った時、先生に「6/8は2拍子だから、123223と数えましょう」と教わりませんでしたか?この簡単なことが、進んだ勉強や入試につながっています。

 拍子の種類音価(1拍の音符)拍子の基本形
6拍子6/4

6/8

9拍子9/8

9/16
12拍子12/8
12/16

混合拍子とは?

5拍子、7拍子、8拍子etc. 拍子が組み合わさったものです。

5/8→2/8+3/8

8/8→3/8+2/8+3/8

他に、単純拍子的な5拍子1拍子もあります。このような枠にはまらない拍子は、表現上必要な場合に使用します。

宮之島しろ先生

さて、基本のキが終わったところで、次は拍子が変わる時のお約束を覚えましょう。

オレンジちゃん

しろ先生!前にほんの少し聞いたことがあるんだけど、拍子が変わるときにリステッソテンポという言葉を書くとか?そういうことですか?

宮之島しろ先生

オレちゃんお久しぶり。リステッソテンポは「同じ速さで」という意味なの。でも言葉の意味だけ知ってても、譜面どおりに演奏できるとは限らないんだよ。具体的にどのようにやれば良いのかわからないと、言葉だけ覚えて終わりになってしまうよ。

オレンジちゃん

そうなんだぁ。わたしもよくわかってないから、ここでちゃんと勉強してみようかな。しろ先生の「オーフィアス組曲」の猫笛とピアノの曲も拍子がいっぱい変わって、お手上げ状態なの。

宮之島しろ先生

わかった!わかりやすいように、譜例を上げて説明するね。また、実際に音を出してみることがとっても大事だから、Youtubeに音源もアップします。

拍子の変化(音価の変化)

表記の方法には、2種類あります。分母となる数字が変わる場合には、元の拍子と新たな拍子の速度を明確にするために、具体的な音価を提示したり、L’istesso Tempo(同じ速さで)という楽語を記したりします。

音価の提示

)譜例1 

拍子記号の音符の単位(分母)が変わる時、元の拍子のテンポと新しい拍子のテンポを明確に表示するために、変化する小節の上に(上記の譜面では3小節目音価の提示をする必要があります。

上の譜面では、2/4の8分音符が3/8の8分音符と同じ長さであることを表しています。

注意

新たな拍子の音価は従来の拍子の音価と等しいことを表す必要あり。=で音価をつなぐとき、新たな拍子の音価を先に従来の拍子の音価を後ろ書くこと。

)譜例2

3小節目で2/4→6/8に変わります。単純拍子から複合拍子への移行ですね!

正確に譜面を再現する力を得るには、音価を揃える練習をすることです。このような練習を数多く重ねるうちに、考え込まなくてもわかるようになります。

下記の譜例3は、譜例2を2/4で統一して書いたものです。

)譜例3

L’istesso tempo

L’istesso tempo(同じ速さで)は、上の)譜例2のような、元の拍子と新たな拍子の音価が等しい場合に、用います。

)譜例4

3小節目にある、L’istesso tempoは と読み替えましょう。4分音符は2分音符の半分の長さですから、3小節目からは音価(1拍の長さ)を半分にして書き換えることになりますね?

)譜例5

譜例5は譜例4を音価を揃えて書き換えた譜面です。打楽器の段をみると、ずっと4分音符が続いています。ということは!拍子が変わっても同じテンポで演奏されることになりますね?

頭だけで考えるのではなく、実際に音を出しながら音価を確認することです。譜例3 譜例5には、打楽器(スネア)が書かれています。こちらを左手で叩きながら、メロディは歌うなり、ピアノで弾くなりして、確認してみましょう。

もちろん、試験では頭の中だけの作業となりますが、準備段階で音を十分に出すことにより、心の中で音を鳴らすことができるようになります。ソルフェージュ能力を育てるためのレッスンと考えましょう。

課題

ここで知識確認のため課題をやってみましょう。

 課題1

下記譜面の、最初の音価と最後の音価の関係(比率)を書いてください。1/2、半分、1.5、2倍など、好きな表記で記してください。

答えは右側のをクリック

答え:最後の音符は最初の音符の2倍です。

解説:3小節目のL’istesso tempoとは、と同一です。ですから、実際の演奏では、3小節目の八分音符は2倍の4分音符で演奏されることとなります。続いて5小節目には、8分音符の音価(音の長さ)が同一という記載があります。したがってここも、前の小節と変わらず、2倍の音価で演奏されることになります。

 課題2

下記譜面の、最初の音価と最後の音価の関係(比率)を書いてください。1/2、半分、1.5、2倍など、好きな表記で記してください。

答えは右側のをクリック

答え:最初の音符に対して最後の音符は1/3です。

解説:2小節目の これは2小節目を半分の音価にするための表示です。2/2拍子から2/4拍子に書き換えましょう。3小節目これは2小節目の2分音符と3小節目の4分音符の音価は等しい意。そのまま(楽譜どおりに)進めます。

  • 2小節目→2分音符を4分音符として書き換えてありますので、3小節目はとなります。
  • 3小節目→6/4は複合拍子であり、通常はを基本とします。しかし、この課題では3小節目にの表示がありますので、4分音符を基本の音価としてとらえます。

4小節目 L’istesso tempoと同一の意味です。2/4として書き換えましょう。

全体を見渡しますと、分母が統一されていることで、一目瞭然。最後の、三連符1個分は四分音符の1/3となります。

Youtube

この記事の譜例を中心に、発信します。実際の音を聴きながら、確認してみましょう。

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