感覚的音楽理論入門 楽典「調性判定1」分析〜非和声音について
前回の記事、調性判定の和声と内声についての解説、そのために必要な知識(和声音・非和声音)を記します。お約束しましたデジタルパフォーマー備忘録は、スペースの関係上別記事にします。

和声音・非和声音
旋律は和声音と非和声音で形作られています。
和声音とは、和音の構成音=和音を形作っている音です。対して非和声音とは、和音に含まれない音です。
非和声音には大きく2つに分けられます。
拍の裏(弱拍)にあらわれる非和声音
- 刺繍音
- 経過音
- 先取音
- 逸音
拍の表(強拍)にあらわれる非和声音
- 掛留音
- 倚音
- 保続音
刺繍音

赤丸がついた音が刺繍音です。針で布をすくうような動きをする非和声音です。
経過音

ツェルニー30番の一節。赤丸が経過音です。和声音と和声音を経過的に繋ぎます。
先取音

赤丸が先取音です。この例では、後続のI度の根音を先取しています。
逸音

赤丸のついた音が逸音です。和声音→順次進行(逸音)→和声音と進みます。
倚音(いおん)

赤丸のついた音は倚音と呼ばれます。この例では内声と外声にあります。倚音が前の拍からtieで結ばれ、(予備といいます)つながった形を掛留と呼びます。
掛留音(けいりゅうおん)もしくは掛留(けいりゅう)

赤丸がついた音が掛留です。1小節目、3拍目のEは前の和声からtieでつながっています。4拍目で和声音(VIの根音)に解決します。(進行が引き伸ばされている感覚)
2小節目の🔺(赤い三角)は倚音です。強拍の位置にある非和声音であることを確認しましょう。
3小節目のbass 前の小節からtieで結ばれています。3拍目でようやくI¹の和声音(I度の第3音)に解決されます。
このように結論を後に引き伸ばすような、もったいぶった感覚をもつ非和声音であることを確認してください。
保続音

赤丸のついた長く伸びる音符を保続音と呼びます。バッハのオルガン曲、平均律などでご覧になった方は多いことでしょう。この例ではG-durの主音の保続音上で曲が展開されていきます。カッコI Iの中に入った和声を、偶成和音と呼びます。
偶成和音を言葉だけで説明してもわかりにくいと思いますので、前回の調性判定の課題を例にして、少しだけ説明します。
非和声音は他にもありますが、基本は上の7種類です。
調性判定課題の簡単分析
前回の課題です。調性判定の課題ですので、和声づけや対位法的な動かし方も厳密なものではありません。肩の力を抜いて読んでください。

調の決定には、ドミナント トニックをみることが大切ですので、3小節目3拍目のV₇ 4小節目1拍目のVIははずせません。
偶成和音1
「飾り」を取り払うと以下のようになります。

この偶成和音ですが、III度調(g-moll)根音省略形属9(変位音含む)の和音です。普通はg-mollのI度に解決するものですが、この場合はEs-durのI度に解決しています。
全体を通して、Es-durの和声で進めていきたいメロディだけれど、平板な響きに終始するきらいもある。変化に富んだ響きも少々欲しい・・そんなとき使用される和声の一つが偶成和音なのです。
偶成和音2
6〜7小節目にかけては、I度の第2転回形の上で和声が動く場面です。

上の例、2小節目は掛留をはずした姿です。硬くぶっきらぼうな感じがします。もう少し上品に、やわらかくしたいとなれば、テノールの2拍目にtieをかけて、ソプラノとアルトの上2声のぶつかりを避ける工夫を施すことになります。
対位法的な流れ
5〜6小節目にかけて、アルトとバスに黄緑色の長い線が引っ張られています。これは八分音符のモティーフだけではなく、長い音符の受け渡しも意識する(耳をそばだてて聴く)必要があるということの示唆です。
今回は初心者の方にとっては難しい内容だったと思います。難しいと思った方、「こんなのもあるんだ」くらいに考えてみてください。今後は実際の曲を分析していますので、その都度思い出してくだされば、十分役立つと思います。
お待ちかねの「和声」(理論と実習を紐解く記事)については晩秋か初冬には、入る予定です。ただし、楽典記事に書いた基本の「キ」については繰り返しません。和声に入ったらどんどん進みます。
宮之島しろ先生入試の楽典には、非和声音の問題も出ていました。ですから、この記事で説明した7種類の非和声音については、勉強しておいたほうが良いと思います。試験では実際の曲の分析が課せられる時もあるみたいですから、慣れておいたほうがいいですね。
次回は、非和声音について、実際の曲を例に分析したいと思います。以前にわたしが「はてなぶろぐ」で発信した記事をリニューアルして載せますよ。曲はショパンのノクターン2番です。またみてくださいね。

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