感覚的音楽理論入門 楽典「実際の音で学ぶ 移調・調性判定1」

移調なんてコンピュータを使ってやるものじゃないの?と思っておられる方々が今は、大半かもしれません。このご意見も間違いではありません。しかしこの場合の多くは、仕事としての音楽や浄書を目的としてのお話かと思います。今回はこのような実用分野ではなく、音楽基礎力に直結する「移調」に焦点をあてます。

正統的な創作を目指している方には、必要不可欠な能力といえましょう。また、実用分野の「移調」については後日、楽譜作成ソフトDoricoの使用法の記事に記載します。

調性判定について。この記事では難易度の低いメロディを使い、基本的な調性判定の秘訣をお伝えします。難解な調性判定については、別記事で少し触れようと思っています。

目次

移調は分析能力の一つ

下記譜面を移調してみましょう。楽器を長いこと続けている方は、自然と移調の能力が身についていると思います。このような方は除き、移調が苦手な方、これから記す方法を試してはみてはいかがですか?

上の譜面で書き込みがある部分、メロディの特徴です。音を一個一個移調していくより、メロディの特徴をつかむことで、記憶が確かになり移調も早くできます。苦手な方はこのような練習を繰り返していってはいかがでしょうか?

ナポリの和音とは?

c-mollの場合は上の構成音になります。(II度の根音を半音下げ長三和音にします。)とっつきにくいと思われる方はとりあえず、こんな和音もあるんだと、覚えておいてください。

この譜面を完全4度下g-mollに移調してみましょう。

移調楽器

これはAlt Saxの楽譜です。Alt SaxはE♭の楽器ですので、実際に鳴る音(実音)と楽譜に示される音(記音)とは違います。こんなことは99%の方がご存じだと思いますが念のため。そのため、奏者に渡す譜面は移調する必要がありますね。

Alt Sax 記譜

Alt Sax 実音(1oct.下げてあります)

上下の譜面を比較してみましょう。記音楽譜をヘ音記号で読めば、ほぼ実音(本物の実音は1oct.上ですが)になることはお気づきでしょうか?

このように、移調楽器は自分なりの法則を作って、読み方の工夫をすることが良いでしょう。

Alt Saxは記音の長6度下の音が出ます。

saxは木管楽器?金管楽器?

木管とは?リードを使って音を出す楽器です。(例外としてフルート・ピッコロがあります。この二種類の楽器は、リードは使いません。)Saxもリードを使いますので木管楽器の中に含まれます。金管楽器はマウスピースを使い音を出します。

調性判定

次の旋律は何調でしょうか?

難しいことを考えなくてもEs-durと判断できる方が多いと思います。もう一歩踏み込んで、和声について考えてみましょう。3〜4小節にかけて、D(ドミナント)T(トニック)と赤字で書かれた部分があります。機能和声の曲においては、必ずドミナントとトニックは存在していますので、その部分を見つければいいわけです。

3小節目3〜4拍目にかけてVやV₇ 4小節目の1〜2拍目にかけては、IもしくはVIの和音を置くことができ、はっきりEs-durであると判断できるのです。

過去に受験生を教えた経験(邦楽のような西洋音楽とかけ離れた専門でも)では、多くの方が短期間(早ければ1回、長くても1〜2ヶ月ほど)で調性判定をマスターすることができています。主流は実際の音を出す=ピアノで音を出したり歌うことでした。

鎖国しているわけではありませんので、西洋の音楽は自然と耳に入ってきます。そのため、邦楽の世界にどっぷりと使っている方でも、容易にドミナントやトニックの和声を意識することができたのでしょう。

メロディを4声体にしました。ドミナント トニックの部分はV₇→VIにしています。

内声の連桁がソプラノの連桁の分け方と違っていました。申し訳ございません。正しくはソプラノの連桁の分け方です。

Youtube動画

調性判定の楽譜を実音にしました

動画の4声体の簡単な分析と、音源制作に使用しているデジタルパフォーマーの基礎的使用法については、次の記事に記載します。

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