感覚的音楽理論入門 楽典「実際の音で学ぶ 連符1〜さまざまな連符と記譜」

みなさん、連符ってハードル高くありませんか?連符入りの楽曲を音楽的に再現するとなると、かなりの練習が必要になります。最初に、割り切れない音符をどこに入れるか?把握し、その上で違和感のない弾き方を工夫してみること。繰り返すうちに楽になってくるでしょう。しかし、連符によっては、人間の能力を超えるような難易度の高いものもあります。

このような楽曲では、乱れが欲しくて連符を使っていますので、コンピュータのような正確さは求められていません。むしろ、勢いや雰囲気重視で、さらっと弾いてしまうことにより、良き効果が得られることもあります。また、作曲者がなぜここに連符を書いているか?考えてみるのも勉強の一つとなります。

今回、連符については実際の音も交え、2回に分けて演奏のコツと記譜法をご紹介いたします。

ところで・・受験副科目のこと。

最近の音大音高受験の副科目の傾向(ソルフェージュ 聴音 楽典 和声など)について、調べてみました。わたしが芸大受験をしました、50年ほど前と内容はほとんど変わっておりません。当時と出題の方法は違いますが、基本的なお勉強ができていれば、特別にガリガリと問題集に取り組まなくても満点に近い成績は取れると思います。作曲専門の方は、何か勘違いでもしない限り満点ではないでしょうか?

ネットには「皆目検討がつかない」と書いておられる若い指導者がおられ、高難易度を期待していましたが、全く違いました。やはり、実際に調べてみるものですね!

「音程」については、このblogで説明したことがきちんと理解でき、室内楽やオケの名曲を読譜鑑賞して、楽しむ余裕があれば、何にも心配することはありません。(ハ音記号読譜が必須ですが・・)昔あったような、単旋律の調性判定は姿を消しており、楽になったと思います。和声で判断できれば、余程のことがない限り間違えませんよ!

宮之島しろ先生

昔の族は苦労したんですよ。作曲族は今でもメロディだけで調を判断しなければならないけど・・昔は一般族でもメロディだけで調を当てるテストがあったんですよ。疲れてました・・

要するに、知識だけあっても音楽に生かされなければダメ、受験でも音楽性追求の立場を崩さないということでしょうね。

芸大、芸高、桐朋音大、桐朋高校の入試問題をみましたが、多少ひねりはあるものの、非音楽的な問題は皆無でございました。他大学は入試問題を公表していないところもあり、手続きが面倒なので見ませんでした。

今後は入試問題や、楽曲分析(入試にも出てきていますが、それ以外にも通用する)についても、記事にいたします。

目次

単純音符と付点音符の連符

主な連符を紹介します。下記は正しい連符の書き方ではありますが、実際の曲においては前後の音価や、他声部の動きによって、記譜が違う場合も多々あります。音楽的な演奏、創作において、柔軟に考えることが大切となります。

単純音符(付点なし)の連符

上記は全音符と2分音符の分割例(連符)です。4分音符、8分音符でも試してみてください。

分割記譜(音符の長さ)
3分割(3連符)2分割と同じ音符
5分割(5連符)4分割と同じ音符
7分割(7連符)4分割と同じ音符
9分割(9連符)8分割と同じ音符
10分割〜15分割(10連符〜15連符)8分割と同じ音符
単純音符の分割と音価

四分音符、八分音符についても同じ考え方なので、ご自身で確かめてくださいね。

分割など聞きなれない用語もあり、難しいと思われる方は、↓をごらんください。3連符ならば、八分音符2個に1個を加えた感覚です。割り切れる拍に1個加えて割り切れない拍を作る。このように考えれば、連符の記譜について、忘れることはないと思います。演奏する場合にも役立つと思います。

付点音符の連符

上記は付点2分音符と付点4分音符の分割例(連符)です。他の付点音符でも色々な分割を試してみてください。

分割記譜(音符の長さ)
2分割(2連符)付点をとった音符
4分割(4連符)3分割と同じ音符
5分割(5連符)3分割と同じ音符(6分割と同じ音価)
7分割(7連符)6分割と同じ音符(12分割と同じ音価
8分割(8連符)6分割と同じ音符(12分割と同じ音価)
9分割〜11分割(9連符〜11連符)6分割と同じ音符
付点音符の分割と音価

ジャズ専門の指導者は5.7.9分割について、上記の緑色の音価のみを書いておられました。ご参考のために!

実際の譜面では、↓のような書き方をしているものもあります。

分割記譜(音符の長さ)
2分割(2連符)付点をとった音符を2分割
4分割(4連符)付点をとった音価を4分割
5分割(5連符)付点をとった音価を4分割
7分割(7連符)付点をとった音価の8分割
8分割(8連符)付点をとった音価の8分割
付点音符分割の別の記譜と音価

上記の記譜で有名な楽曲は、ドビュッシーの「月の光」です。この楽曲は規則的な拍から抜け出すことが求められているのではないでしょうか?それは拍だけではなく、形式、調性、「月の光」というタイトルにも現れているように思います。ちなみに調性はD♭ミクソリディアンを中心として、揺れ動いています。きつい和声であるVやIの基本形は要所要所にしか使わず、全体が展開形で彩られています。はっきりしない〜暗い感覚が良いですね。

2連符は八分音符で書かれていますね?そして2段目3小節以降の6連符も。2連符が3つではなく、6連符として書かれているのは、6つの音を一息で弾くことが求められています。しかも動きをもって。

この部分には連符の表記はありませんが、4連符です。ここも2連符が2個ではなく、4連符を一息で弾いてほしいのでしょう。

ところで、2連符の弾き方については↓をごらんください。連符ではなく、普通に書いても通じます。

「月の光」の2連符は、↑の最後の小節(八分音符付点4個)のように弾いてください。

その他の連符

休符を含む連符

休符を含む連符であったり、休符が伸びている連符であったり、色々な形があります。

入れ子の連符

連符の中に連符が入っている形です。

比率で表す連符

最近の楽譜ではよく見られる表し方です。一見難しそうにみえますが、誤解させないための親切な表記であると思います。

1小節目は、付点4部音符一つ4個の八部音符(4連符)を入れてください、という意味。2小節目は、八分音符3個に対して八分音符4つ(4連符)を入れてください、という意味です。一般楽譜は、4:3などと省略してあるものも多いですが、音価を書いていただいたほうが、親切だと思います。わかりやすくしてほしいものですね。

次回は連符を演奏するときのタイミング、わかりやすくするための対処方法を記します。Youtubeも使い、音を出しての説明となる予定です。

あわせて読みたい
感覚的音楽理論入門 楽典「実際の音で学ぶ 連符2〜音符と連符・連符と連符の組み合わせ」 https://chiron-shop.astro-music.link/theory5-1 前回はこちらです 連符や音符の組み合わせを、異なる声部で再現するのは簡単ではありません。実際の演奏では、理屈通...
続きはこちらです。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次