まず、広く一般に使われておる書籍の紹介です。
音楽之友社「楽典 理論と実習」
上記の書籍については、書かれておることを敷衍しつつ理解していくことがよろしいでしょう。そのためには、楽器の演奏に特化した先生より、作曲や編曲を主流とした先生におつきになることをお勧めします。演奏と創作は全く違うものなので・・加えてご自身の知りたいことに応えてくれるような先生が良いでしょうね。
基本を大切にする先生が最も良いと思います。基本をつきつめて習っていないと、応用力がききません。すぐに忘れてしまうような教わり方では、先には進めません。
わたしが師事した師匠は「われわれはモーツアルトではないんだから、和音記号はきちんと書きましょう」と初歩のころよく言われておりました。自分の曲の分析ですね。基礎の基礎の段階では大切なことと思います。
指導者によっては、生徒さんの自主性に任せて何も教えない方もいると思いますが、後々苦労するかもしれません。全くの独学で作曲をやってのけた天才もいるとは思いますが、わたしは知りません。モーツアルトですら、先生がいたそうですから・・・
楽典とは少し離れた話になっていますが、延長線上、しかもかなり近い距離にある話ですよ。
完全5度 減(重減)5度 増(重増)5度
前回は三和音と音程の5度の関係を、響きを中心に、おおまかに解説いたしました。4種の三和音(長三和音 短三和音 減三和音 増三和音)の、根音と第5音とで形成される音程であるがゆえに、「同じ5度でもいろいろな5度がある」と理解されたと思います。
さて、前回の知識を整理整頓しますね。下記の画像をごらんください。
完全5度が基本となります。完全5度より半音広い音程が増5度、全音(半音2個分)広い音程を重増5度といいます。
逆に、完全五度より半音狭い音程を減5度、全音(半音2個分)狭い音程を重減5度といいます。
重減←減←完全→増→重増
画像の鍵盤と音符とを見比べてください。○ △などの印は鍵盤上の印と一致しています!
しろ先生、重増5度のドとソのダブルシャープって、鍵盤でみるとドとラですね?なんでダブルシャープを使わなければいけないんですか?
オレちゃん、さすが!いいことに気づいたね。この場合は5度の音程ってことでみてるから、ドとソのダブルシャープで表示してるんだ。でもドとラとも読み替えられる。これは異名同音(いめいどうおん)って言ってね、後々とっても大切になってくる。このやり方を使って転調したりね、あとダブルシャープのソを使う音階だってあるんだ!
なんだか難しそうだけど、面白そう。たとえばみかんだと、果物として食べるのもあるし、陳皮といって薬にもできるような感じ?同じ果物でも別物に変わるって感じね。
なかなかだね、オレちゃん。将来が楽しみだぁ。音階や転調についてもそのうちやるよ。でもいっぺんには話しきれないから、少しづつね。でも、ここをみているみんなにとっては退屈極まりない話題だろうから、このへんで終わりにするよ。続きはサザンクロスでね。じゅりさんと一緒に待ってるよ。
音階上に5度を作ってみる
下の図はハ長調(C-dur C-major)の音階上に、音階の構成音を使って5度を作った楽譜です。音階の7番目の音シの上には減5度ができていますね?他は全て完全5度です。
小さな黒い音符は完全5度の真ん中の音(第3音)です。第3音を入れると、三和音となります。前回と同様、ピアノで音を出して復習してみましょう。
最後の、減5度はとても大切です。赤丸がついているシの音はドに上がることを意識しましょう。シは導音といい、ドに導かれます。ドは主音といい、音階の始まりの音であり、終わりを意識する音でもあります。このような一見簡単そうなことが、演奏でも作曲でも重要な事柄となります。
4度(5度の転回音程)
上図はハ長調(C-dur C-major)の音階上に、4度を作ったものです。4度も5度と同じく、完全が基本となります。
完全5度の譜面と比べてみましょう。完全5度のドとソを逆にすれば、完全4度ソドとなっていることにすぐに気づくと思います。このように、逆に置き換えることを転回といいます。減5度の転回音程は増4度となり、増になることもすぐにお気づきでしょう。
他に完全を使うものは、8度(オクターブ)と1度があります。完全を基本として、増減、重増重減とくっつけるのも同じです。また8度の転回は1度ですので、考え方としては4度5度と同じです。意外に簡単なことがわかったでしょう?
また5度は調性や調号につながっていきますので、完璧にわかれば、世界が広がります。文字の羅列だけではわかりにくいかもしれませんので、動画を作ってみました。
問題集も作りますよ。素直な問題、捻りを加えた問題、楽しみましょうね。
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