譜面作成ソフト Dorico 備忘録1

宮之島しろ先生

次回の感覚的音楽理論入門は「拍子の変更」による音の長さを、どのように解釈したら良いか?という記事です。L’istesso tempoという用語でも知られていますね?少々お待ちくださいませ。

さて、今回は楽譜作成ソフトDoricoによる記譜の備忘録です。(使い慣れていませんので、苦労した点をまとめておきます。)参考にしていただければ幸いです。

コンピュータの譜面を作る前の段階として、手書きで五線紙に正しく書ける能力が必要となってきます。そのためにも、最低限楽典の知識は備えているべきです。プロの楽譜制作者はほとんどが作曲科を出ていますので、作曲編曲に長けておられるでしょう。彼らに太刀打ちして、楽譜販売を手掛けようとするなら、ご自身に磨きをかけることが前提となります。

楽譜作成ソフトを使えば、一見すると立派な譜面ができますが、使えないことも多いようです。低音域が間違ったままである、和声が間違っている、ピアノ譜なのにウクレレのようなトレモロを書いている、1ページに小節を詰め込みすぎている、テンポ表示がない・・・etc

コンピュータ任せにしないで、音を出して見直し、修正して仕上げましょう。ここでやっと第一歩にたどりついたところでしょうか?楽譜を出版するならば、校正作業に入り、細かく検討していきます。何にしても手間暇がかかるものなのです。

L’Atelier du Chironでは、作曲編曲に限らず、記譜法についてのレッスンもしております。

まずはお気軽にお問合せください。

目次

FinaleからDoricoに変更

現在、finaleからDoricoに変えて、作業を進めています。今の時点でピアノ曲を1曲あげました。近々録音しまして、Youtubeに音源アップ、楽譜販売もいたします。今回はfinaleで作成した楽曲も1曲あり、2曲音源と楽譜を出します。

Doricoを使用してみて、私が現時点で感じていることは以下の通りです。

Cubaseが下地にあるせいか?DAWを感じさせる入力方法です。入力はリアルタイム、ステップタイムの2つが楽にできます。リアルタイム入力では、スラー スタッカートも音と共に入力されます。レゾリューションを設定しておけば、ズレて入力されることはほぼありません。

直感で動かすことができますので、マニュアルを熟読して覚える作業から解放される方が多いのではないでしょうか?

浄書モードがありますので、シベリウスよりも綺麗に仕上がります。

フロー(組曲の中の1曲 1曲の中の1つの楽章)が集まってプロジェクトになっています。プロジェクト作成画面で曲のデーター(作詞作曲、著作権などなど)を記し、テキストトークンを使って呼び出すことにより、楽譜に表示されるシステムです。テキストトークンは自由に動かせます。これが最初のうちわかりにくいかもしれませんね。

楽譜にイラストも添えることができます。楽譜集として表紙を作るときなど使えそうです。

ショートカット(ポップオーバーという)が楽に使えます。

段を超えるスラーの入力方法

finaleを使っているときは、段を超える長いスラーは、画面を縮小して入力していました。器用な方はすんなりできるのでしょうが、わたしは生まれながらの不器用者なので、自分の能力に合わせて工夫していました。それでもマウスをもつ手にグイグイと力を入れつつ、首にも力が入り、体力消耗しておりました。

Doricoには、以下2つの方法があります。最後にYoutube動画がありますので、参考にしてください。

  • finaleと同じく、音符と音符をつないで手動でスラーをかけていきます。finaleほどの苦労はなく、力を抜けばスムーズにスラーが入ります。画面縮小はほとんど必要ありません。ただし、ページが変わる時は縮小した方が簡単です。
  • 音符を選択し、スラーのアイコンをクリックするだけです。

ニアリーイコールやca.などテンポの近似値表示

メトロノームの等号表示に、ニアリーイコールを使う方も多いと思います。調べたところ、ニアリーイコール→ は海外ではほぼ使われていないようです。海外ではapproximately equal (だいたい同じ)を使います。ですから、Doricoもではなく、を使用します。

他にも、ca. c. circa などなどさまざまな表示方法があります。Doricoでは、曲全体に同じ表示を使う場合1箇所だけ近似値を使う場合、それぞれの方法があります。

1箇所だけ近似値を使う

approximately equal(ニアリーイコール)を選んでみます

1)メトロノーム記号を入力します。

2)下部の →プロパティ(左側)をクリック

テンポ近似 近似値の外観(を選ぶ) 等号を表示にマークをつける。

3)出来上がりはこのようになります。

曲全体に同じ近似表示(等号)を使う方法

ca.を選んでみます

1)ライブラリー→浄書オプションをクリックして開く

おおよその速度表記から、ca.を選択し、適用閉じるをクリック

2)テンポを入力する

3)下部の →プロパティ(左側)をクリック

テンポ近似マークをつけると、ca.が入ります。

4)確認してみましょう。

簡単でしたね。

浄書専門の方は、ca.の場所を後につける方法など、finaleと同じような使い方ができるように努力されていますが、私はそこまでやる必要性を感じません。譜面の美しさより、曲の内容が第一だと考えているからです。

段のレイアウト

曲の最後が1小節余ってしまい、体裁が悪い。どうしたらいいか悩みましたので、自分なりに工夫してみました。

下譜面のような例です。2段目には1小節しかありません。この小節を前の段にもっていきたいのですが・・・

1)2段目の最後に1小節追加します。

パネル→小節を追加 

     

小節を挿入をクリック

 

フローの終了に1小節を追加

2)浄書モードにします。

複縦線を選択前の組段に移動をクリック

3)記譜モードにして、追加した1小節を削除します。

最終小節のシステムトラックをクリック→ゴミ箱をクリックして削除 

システムトラックが表示されてない場合は、ビューシステムトラックをつけてください。

Youtube

スラー段のレイアウトは動画にしてあります。よろしければどうぞ。

Dorico manual 1
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