高い楽器か?安い楽器か?〜ピアノの選び方

以前にはてなブログをやっていたとき、ピアノ初心者の女性がうちのブログにリンクを貼ってくれていました。その方は高額ピアノを購入しては、買い替えたりとかなりの楽器マニアであるとお見受けしました。

ピアノも習っておられるのですが、びっくりするほど低料金の先生についておられました。内容より、金額で選ばれたようです。しかし自宅のピアノはベヒシュタインに落ち着かれたとか?以前は日本のメーカーの高額な楽器だと記憶しています。

楽器の金額と音楽は別物

ピアノのレベルはブルグミュラーやバッハの2声のインベンションが、スローテンポで通して弾けないくらいです。この方だけではなく、周囲のピアノ愛好家全てが、「高額楽器の方が良い。上達が早い」と思っておられるようです。

バイオリンは、腕半分楽器半分といい、ある程度の技術を持っている方は、高額楽器を買うのが普通の考え方のようですね。それでも、ある程度の技術(専門家やその予備軍)という条件つきです。

ピアノの場合は、あてはまりません。わたしが習っていたピアノの先生は「楽器が高ければうまくなりません。安い楽器を工夫して鳴らすことによって、上手になります。ですからイタズラに高い楽器を求めることはやめたほうがいいです。」とのことでした。

ピアノは持って運べませんから、演奏する先のピアノがガタガタだったりすることもあり、この場合良いピアノばっかり弾いていれば、調整の仕方がわからず、大失敗します。以前にとあるスタジオで録音のために、ベーゼンドルファーを触ったことがありますが、怖かったです。

うちはヤマハですが、初期のC7でタッチが重く、調律師さんも「これでいいんですか?もっと軽い方が良いのでは?」とおっしゃるくらいです。私は重い方が好きなので、調整はしてもらっていません。そのため、外のピアノは全て軽いと感じます。ベーゼンを弾いた時はタッチが軽く、すぐに音が出てしまい冷や汗ものでした。

この楽器自体古いのかもしれませんが、他のミュージシャンの方も「弾けません。できません。」とよくおっしゃっていたようです。

楽器が高くても弾けなければ意味ありません。自分に合った楽器であれば、安い方がいいのではないかと思います。一般的には安い方が普通は嬉しくありませんか?

楽器が高いことと音楽的であることは別です。楽器の金額に頼るより、自分の音楽的感性を鍛えた方が良いと思います。それでも高額楽器が第一と信じておられる方には通用しないですね。借金して楽器を買うほどの方はマニアの一言につきます。

だいぶ前、Youtubeでミニキーボードを使ってなんでも演奏してしまうジャズピアニストの演奏を聴いたことがあります。トランスポーズを上手にこなしてなんでも名曲にしてしまうのです。お父さまも音楽家であり、この方は音大ピアノ科卒でクラシックを勉強されていることから、引き出しが広いことが演奏から伝わってまいりました。

安価なミニキーボードなどとは感じさせない音楽でした。音楽と値段は関係ないんだなぁと思わせてくれる一例でした。

思い込み

ものすごく良い楽器を持ちながらも、全く進歩の兆しはみられない方にお会いしたことがあります。どの先生についても同じだったようで、以前師事されていた先生にも引導を渡されたようでした。このような方々には大概似た理由があります。

  • 練習時間を確保できないこと。
  • レッスンの時に言われたことを短時間のうちに忘れてしまっている。
  • レッスンにくるだけで勝手に上手になるに違いないと、思っている。
  • ピアニスト(反田さんのような方)の進んできた道が自分にも当てはまるはずだと思っている。

先生の方からお断りする生徒さんはあまりいないので、驚きましたが、わたしも同じ感想でした。

ただし・・・

97%は自分を変えたいとは思っておられませんので、指導側での丁寧な対応は、相手方にとっては迷惑にしか思われません。(自分は素晴らしいとの自負あり。お客さんなんだから褒められて当然である!)残りの3%が、困難であっても自分を変革したいと思って、勉強に励みます。(10年に一人程度)

高価なピアノをもっているから上達しないわけはないという思い込みがある以上は、指導者が関わっても上達することは100%ありえません。

上達だけを視野にいれれば、このような結果となります。もちろん、家具としてとか、高い楽器=ステイタスとして考えておられるなら、問題はありません。

アップライトかグランドピアノか?

特殊な楽曲(ソステヌートペダル)以外は、アップライトでも十分だと思います。楽器の性能が違うというご意見があります。その通りでしょうけれど、無理をしてグランドピアノを手に入れたとして、うまくはなりません。

まずは楽器より、ご自身の耳を鍛えることが大切です。加えて本当の意味で音楽を理解している先生に就くことも大切です。

あるジャズピアノの先生が「まず演奏を聴くことから始めましょう。楽しんで曲を聴かなければ、ただのお勉強になってしまいます。練習のほとんどが楽しく聴くことです。理屈はレッスンしながら学びましょう」と。

他のジャズの先生も「ジャズのレッスン、練習は名演奏を聴いて真似することです。理論だけを演奏から切り離して教えることはできません。」と語られておりました。(この先生はクラシックもお上手です。)

お二方のピアノの名手が「耳を鍛えて楽しむこと」を第一に挙げられていますね。ジャンルは違っても同じです。全て耳が関わってきますので、外側から入るより、ご自身の内側を育てましょう。

余談ですが、創作も同様です。西洋クラシックをやるなら、過去の作品の真似から入り、じょじょに自分のものにしていく。真似から新しいものを作り出すにも、耳(感性)が大いに関わってきます。

良き演奏、優れた創作の基本は、見かけではなく、感性であるようです。

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