どこまでが編曲なのか?作曲なのか?線引きをする必要あり

前回記事↓ ↓ の続きです。今回は編曲と作曲の線引きについて思うところを書きます。

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編曲とは?作曲とは?

ジャンルによって考え方が違います。

西洋クラシックの作曲は、旋律、和声、その他の絡み合う旋律、空間などを、一から作り上げていくことを指します。作者の世界観を表現する作業でありますから、そこに決まりは存在しません。

一見して簡素にみえる曲であっても(たとえば無伴奏フルートソロの曲など)旋律の中にもう一つの世界が封じ込められていたりなど、潜在意識と顕在意識が同居しておるような曲もあります。

旋律にピアノ伴奏というスタイルでも同様に、内面に大いなる世界が存在している曲もあります。逆に、他作者からの影響を受けているように見せかけて、曲が進むにつれて、自分の世界に引きこんでゆくスタイルもあります。

他に・・和声、旋律などから解放され、音色重視(縦の線)に徹した楽曲も数多くあります。

クラシックの編曲とは、原曲を元にして自分の世界を新たに作り出す、別の楽器編成に変える、原曲重視で自分の考えは控えめにするなど、さまざまなタイプがあります。

上記のように西洋クラシックの作曲編曲は、例外を除き、一人で全てをやりとげる仕事であります。また自己表現が主流であるため、決まりごとはほぼないと言えましょう。

対して、ポピュラーミュージックや歌謡曲系の作曲は、歌が主流です。歌は、メロディと和音と型の骨組みにより、作られており、編曲はこの3つの骨組みをもとにして、作曲者の表現を強める作業であると思います。

歌とはメロディです。ですからまず作曲者がメロディにより、自分の世界観を表現しなければ先にすすみません。次に和音をつけ、最後に型を使って完成度を高めていき、編曲者に渡してより強固な表現にしていく。

時代は変わっても、ポピュラーミュージックや歌謡曲の作曲 編曲は分業であることが主流を占めています。また聴き手に歩み寄る姿勢が求められるため、一定の枠の中での表現活動となります。

考えの相違とトラブル

ここからは私事を例に記していきます。

最近は自作自演の演奏家も増えてきました。パフォーマーミュージックライター?? と勝手に命名しました。

大昔おつきあいのあったパフォーマーミュージックライター(専門フルート)はかなり危うい考えの持ち主であったと、今になって思います。トップに貼り付けた前回の記事の最後に書きましたように、一事が万事。一つの事例で不快な思いをさせてくれる人間は、何度も同じことをしでかしてくれるのです。(当時はこちらに見抜く目がなかったといえましょう。)

今回は編曲です。

  • 短いフレーズ(4小節にも満たない)を、完成したメロディに仕上げることは編曲者の仕事である。
  • たとえ2小節の殴り書きでも、旋律の断片は自分が書いているのであるから、「作曲は自分」と主張。

上記の考え方でおられたようです。これだとポピュラー系の「作編曲」の範疇には入りません。編曲の捉え方がこちらと違っていたため、案の定トラブルに発展いたしました。

トラブルとは、隣接著作権に触れる出来事と、上の黄色の囲みの内容=このパフォーマー独自の主張によることです。発端は12年前にこの演奏家のために書いた曲を、最近になってyoutubeで発見したことです。(わたしの名前のクレジットは一応されてはいるものの、作曲とも編曲とも書かれておりませんでしたので、Jasracサイトで調べましたところパフォーマーの名前で作品届けを出されておりました。)

放置しようと思ったのですが、迷ったあげく管理出版社に連絡いたしました。出版社の方は「まず会社から相手方に電話して、本当に自作品なのか尋ねてみるところからのスタートです。その後お話ししてもらうことになりますが、かなり不快な思いをすることになる。」とおっしゃいました。

結果、10年ぶりくらいにこの演奏家と話しましたが、全く話にならず、何の進展もなく終わりました。全くの徒労であったわけですね。

出版社の方のおっしゃったとおり不快な思いをしましたが、さまざまな面から勉強をさせていただきました。

仕事をする前に、よくよく知識の確認をする必要があると強く思いました。丁寧すぎるほど丁寧に確認したり、金銭が絡むことについては、書類を交わす必要があると痛感しました。

そのため当サイトでは、ご依頼の流れのページに、くどいほど丁寧に説明書きを加えております。お互いに不快な思いをしないためにも、事務処理には慎重に対応した方が良いと考えています。今までは「わかっているのではないか?」と確認事項を曖昧にしてきたこともありました。

今回のトラブルは転ばぬ先の杖だったのかもしれないと、ありがたく受け止めています。

みなさまも、仕事の契約や事務処理には念には念をいれて確実に対応してください。一事が万事と言いますように、一人の人間はそうそう変わるものではないことも、視野に入れていただければと思います。

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